就業規則の変更

労働基準法による変更手順

会社の事業変更や経営状態の悪化等によって、就業規則が変更されることがあります。

しかし、就業規則の変更においては、初期の作成時と同様、「事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」とする、労働基準法第90条に従わなければなりません。

また、就業規則を変更したときは、これをその代表者等による意見を記した書面を労働基準監督署長に届けなければなりません。

ただし、就業規則の変更自体は会社側の一方的なものであることが多く、その有効性が問われることもあります。

判例等による有効性の判断

秋北バス事件(昭和43年最高裁大法廷判決)の判決では、「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則的に許されないがそれが合理的なものであるかぎり、それぞれの労働者が、これに同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない」などとしています。

また、大曲市農業協同組合事件(昭和63年最高裁第三小法廷判決)では、「当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによつて労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであることをいうと解される。

特に、賃金、退職金など労働者にとつて重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。」のようにしています。

判決には、就業規則の変更が有効とされたものや無効とされたものの双方がいくつもあります。

したがって、就業規則の変更が許されるのは、上記のような合理性があるかどうかがその都度、それぞれのケースによって判断されるでしょうから、賃金や退職金等の変更が、その変更前と比べて相当に生活に影響を与えそうな場合や、その変更に納得のいかない場合は、労働者として立ち上がることも必要ではあるでしょう。

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