公正証書の効力
契約書は相手との金銭の貸し借りや、権利義務を明確にし、その後の証拠として作成するものです。しかし、証拠としての効力はあるものの、相手方にその履行をさせるための強制力といったものは全くありません。相手方が契約書に記載した債務を履行しなくても、その契約書のみをかざして、無理やり履行させることはできないのです。相手の履行を強制をもって履行させるためには、裁判をして勝訴判決を得なければならないのです。
しかし、公正証書によって契約書を作成してある場合は、例えば相手が契約通りに貸したお金を返さない場合は、その公正証書をもって直ちに相手の財産を差し押さえたりすることができるのです。
●契約書を公正証書にする利点はこれだけではありません。
- 真正に成立した公文書としての推定をうけ、強い証拠力をもつことになります。
- 公正証書に記された日付は確実にその日に作成されたとする公証力をもつことになります。
- 公正証書の原本は公証役場に保存されるため、保管性にすぐれています。
公正証書を作成するには時間と一定の費用(公証人手数料等)がかかりますが、以上のようなメリットがあるので、契約金の大きな取引や特に重要な取引であれば、大いに利用する意味はあるでしょう。
しかし、公正証書のもつ強制力は、金銭回収や株券、手形などの交付以外のものには発揮できません。借地借家契約において、契約違反などがあっても、相手方に土地や建物を引き渡してもらうというような強制力はないのです。このような場合は、訴訟を起こして強制執行を勝ち取るしかありません。
●また、金銭回収を目的として公正証書を作成する場合にも、次のような2つの条件が必要です。
- 金銭額が一定であるか、または証書において金銭額をはっきりと算出できるように記載してあること。
- 「契約に違反した時には、強制執行を受けても意義はありません」という、執行認諾条項が記してあること。
上記のような条件が満たされていない公正証書は、やはり訴訟判決を得た場合でなければ強制執行はできませんので、注意が必要です。
公正証書は、契約当事者またはその代理人が最寄の公証役場に行って、そこの公証人に作成してもらいます。
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