養育費

養育費の分担義務

婚姻中は夫婦が協力して子供の生活費や教育費を出しています。もちろん、母親が専業主婦であれば、お金自体は女性側が出すということにはなりませんが、母親が子供の面倒もみる時間は当然に長くなり、父親も安心して仕事ができるわけです。

また、子供を扶養する義務として、親が必要な経費を支出しなければならないことは言うまでもありません。そこで、夫婦が離婚したとしても、どちらも本当の親であることに変わりはないのですから、養育費は監護費用の分担となり、子と離れて暮らす親もその支出の義務があるわけです。

しかし、残念ながらこのことを無視しているのか、もしくは離婚すれば養育費の支払い義務はなくなると考えているのか、支払いをせずにいる方が多いことも事実のようです。

養育費を支払うということは、離婚にどんな原因があろうとも、離れて暮らす子には全く関係のないことなのです。これは父親と母親の立場が逆であっても同じことが当てはまります。

民法第877条
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

母子及び寡婦福祉法第5条
母子家庭等の児童の親は、児童が心身ともにすこやかに育成されるよう、児童を監護しない親の児童についての扶養義務の履行を確保するように努めなければならない。

再婚後の養育費の負担

例えば、子を引き取った母親が再婚をした場合、別れて暮らす父親は養育費の支払い義務がなくなるのでしょうか。民法ではこれを以下のように定めています。

民法880条
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

すなわち、当事者のみによる協議や調停、裁判等により一度取り決められた養育費の支払は、家庭裁判所にその変更の申し立てをし、減額や免除が認められない限り継続して支払いをしていかなければなりません。

では、母親が再婚し、引き取った子が再婚相手と養子縁組をした場合はどうでしょうか。この場合にもやはり、家庭裁判所により、養育費支払いの減額や免除が認められなければ、先の場合と基本的には同様であると考えるべきでしょう。

再婚相手の男性に十分な経済力がなければ、子の生活基盤は脅かされたままです。再婚したり、再婚で経済力が増し、生活基盤がうまく整えば、減額や免除が受けられやすくなるということです。

養育費の支払いが滞った場合

養育費の取決めを当事者の協議だけで決めている場合は、例え養育費に関する書面(離婚協議書)があっても、それが公正証書等によるものでなければ、強制執行をさせることはできません。

そういった場合には、家庭裁判所で新たに養育費における調停を申立てる方法があります。この調停が成立し養育費支払いの調書が作成されれば、法的な取立てが可能となります。

支払いが滞っている場合は、まず、家庭裁判所に義務者に支払を促すための履行勧告をしてもらいます。ただしこの勧告には強制力がありませんので、さらに相当と認められる事情があれば、履行命令を出してもらえることもあります。

この命令で支払い義務者が支払いをしない場合は、本来の養育費とは別に10万以下の過料という制裁を受けることがありますので、かなり心強い味方になるでしょう。

また申立てによって支払義務者の給与の差押さえ等の強制執行をさせることも可能となります。

初回無料メール相談受付中

無料相談メール

Copyright (C) since 2005 光和行政書士事務所 All rights reserved.